NEWS LETTER 1999 No.12-12月 |
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東京ガス株式会社 広報部
〒105-8527 港区海岸 1-5-20
TEL.03-5400-3886
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「入浴中の突然死対策には、 温度差の解消などの予防が重要」
日本では、入浴中の急死者(入浴死)が外国に比べて圧倒的に多く、厚生省統計で明らかな「入浴中の溺死」(右下グラフ)に心筋梗塞などの病死を加えると、実際には入浴死総数は溺死者数の5倍近くに上ると推定されます。「入浴中の溺死」は年々増加しており、それに応じて入浴死数も、高齢者だけで一万人を超えると推測されます。
入浴死の発生は、65歳以上の高齢者に多く、11月から3月の寒い時期に集中しています。死因別では、循環器系疾患や脳血管障害が過半数を占め、温度差による急激な血圧変化(ヒートショック)が大きく影響していると考えられます。つまり、「寒い脱衣室や浴室から、寒さ解消のために熱いお湯にゆっくりつかる」といった、日本人にとって日常的な入浴行動が、事故につながる可能性が高いのです。
入浴死の大半は、意外にも家族が同居の場合に多数発生しています。万一事故が発生した時、早期発見が大切なのは言うまでもありません。
事故の発生を予防するために「高齢者の入浴中には家族が度々声をかける」ことはもちろん、「脱衣場や浴室を暖房する(温度のバリアフリー)」などを心がけ、「冬場熱い湯に長湯はしない」「ぬるめのお湯に入る」など、入浴習慣そのものを考え直す必要もあるようです。
| ●「入浴中の溺死者」 |
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| 出典:厚生省人口動態統計「家庭における不慮の事故」より |
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【1】 入浴中の急病・事故はこんな時に起きている!
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- ◆戸建ての冬は要注意
- 東京都内の救急搬送の中から、「入浴中の心肺停止」と、「心肺停止には至らない場合」とに分けると、特に「心肺停止」が冬の寒い時期に集中しています。
さらに、65歳以上の高齢者について、住居形態別に見ると、集合住宅よりも戸建住宅での発生率が高く、特に冬場は顕著です(戸建が8割強、集合が2割)<東京ガス都市生活研究所調べ>。戸建住宅では、集合住宅と比べ、外気の影響を受けやすく、浴室が寒くなる冬には特に注意が必要です。
●月別・住居形態別65歳以上・浴室心肺停止(東京都内、1997年)

出典:東京ガス(株)都市生活研究所作成
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- ◆42℃以上の湯温に注意
- 神奈川県内で発生した入浴死について、救急隊到着時の浴槽内温度(湯温)がわかっている126件について見ると、41℃を境にして死亡者数の増加が著しいのがわかります。中でも、42℃以上が76%を占めています。さらに、データは発見時の湯温なので、事故発生時はもっと熱いお湯に入浴していた可能性もあります。入浴死と湯温については明らかに相関関係があるようです。
●事故発見時の浴槽内温度

出典:横浜市立大学医学部 相原弼徳(ひつのり)先生調べ
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- ◆家族同居の家庭で事故多発
- 東京都内おける入浴中・心肺停止患者の家族構成を見ると、家族同居が大半で、一人暮らしは3%にすぎません。東京都の「高齢者のいる世帯」中、「単身世帯」が23.8%(平成7年度国勢調査より都市生活研究所が算出)と比較しても、事故の多くが家族同居の状況で発生していると言えます。つまり、入浴死については、助けを求める間もなく意識を失い、死亡に至るケースが多いことがうかがえます。
また、浴室の種類別では、家庭内の内風呂より公衆浴場で心肺停止患者の割合が低いことがわかります。これは、事故の発生に、他の入浴客がより早く気付くためと言えます。意識を失ったが、早期発見されたことにより、溺死を免れ社会復帰しているケースも多数報告されています。事故を未然に防ぐには「誰かと一緒に入浴する」「家族が頻繁に声をかける」といったことが大切です。また、意識を失い、一定時間以上お湯につかったままになると、センサーが反応して警報を発するような装置も実用化に向けて開発中です。
●入浴中・心肺停止患者の家族構成

出典:東京消防庁、1997年調査
●浴室の種類と入浴の危険(65歳以上)

出典:東京消防庁、1997年調査
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入浴死の発生件数は、高齢化が進むにつれて、年々増加しています。事故防止のためには、浴室の暖房などに加え、入浴のしかたにも配慮が必要です。
入浴法
- 冬場の熱い長湯は避ける。お湯の温度は38℃から41℃までとし、全入浴時間は20分以内に。
- ほかの家族が入浴したあとに高齢者が入浴するようにすれば、浴室も暖まっているし、浴槽の中の湯も沸かしたてではないので熱すぎることがなく、身体への負担が少ない。(「二番湯入浴」)
- 浴槽への給湯をシャワーでする「シャワー給湯」は、シャワーの蒸気で浴室が暖かくなるので入浴中の病気発作に予防効果がある。「二番湯入浴」できない一人暮らしの高齢者には、この方法がよい。
- 「かけ湯」や「半身浴」を組み合わせるなど入浴方法を工夫する。
- 家族と同居の高齢者が入浴する際には、事故が起きたときに速やかに対応できるよう、家族にひと声かけてから入るようにする。
設備改善
- 浴室・脱衣室の暖房設備を工夫する。
浴槽は深くないほうがよく、浴室内に手するを付ける、転倒時の災害防止のため安全ガラスを使用するなど可能な限り浴室、浴槽を改善する。
その他
- 血圧降下剤を入浴の直前、直後に服用しない。飲酒後や向精神剤(精神安定剤、睡眠薬)などを服用直後の入浴は避ける。
- 高血圧、動脈硬化、糖尿病、脳梗塞、パーキンソン病などの既往症のある高齢者の入浴はふだんから注意が必要。
これらの既往症のある人は一人湯や長湯を避ける。
出典:「消費者被害注意情報No.23」国民生活センター
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- 意識障害を認めたら、あごを風呂蓋に乗せてお湯に沈むのを防ぐ。
- 浴槽の栓を抜く。
- 可能なら、患者を浴槽から抱え出して(無理ならそのまま)救急車を呼ぶ。
- 浴槽から抱え出したら、仰向けに寝かし、呼吸を確認する。呼吸がなければ口対口の人工呼吸をまず2回、続いて脈を取り脈が触れなければ心臓マッサージを15回行う。人口呼吸と心臓マッサージを繰り返して、救急隊の到着を待つ。
出典:「入浴時における高齢者の急病・事故」 慶應義塾大学病院 救急部 堀進悟先生
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ひとくちメモ
都道府県別に比較すると‥‥
北海道と沖縄で低い発生率、1位の新潟と沖縄の危険率の差は72.5倍にも
浴槽内での溺死について、人口10万人中の発生率を都道府県別に比較すると、最も高い新潟で5.8人、最も低い沖縄で0.08人と危険率の差は72.5倍にもなります。
また、1月でも平均気温が16℃という沖縄に対して、福井、富山、山形など冬の寒さが厳しい地域でおおむね発生率が高くなっています。一方、全館暖房が普及している北海道では、冬の寒さ(1月の平均気温は-4.6℃)にもかかわらず、発生率は1.39人/10万人(平成10年)と低く、47都道府県中40〜46位と常に低位ベスト10にはいっています。
●「浴槽内の溺死」都道府県別比較

出典:東京ガス(株)都市生活研究所作成
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入浴死に関する調査をした橋本研究員
| Q.調査を終えて、意外に思ったことや新たな発見は? |
A.現在、慶應大学医学部救急部と東京消防庁の方々が、入浴死発生現場の浴槽形状や溺没時の姿勢など、入浴死に関する調査を進めています。プレ調査から、狭い浴槽で前傾姿勢で倒れるケースが多いことが予測されています。これは、東京ガスが実施した調査結果(浴槽の狭い家ほど浴室を寒いと感じている)にも合致し、特に浴室が寒い戸建住宅での危険性が高いことが考えられます。
また、最近の外部調査結果から、高齢者の入浴死は、むしろ家族同居の場合に多数発生していることがわかりました。同居とは言っても、入浴の時間がばらばらであることを反映しているようです。 |
| Q.入浴死を防ぐために、特に注意すべき点は? |
| A.ここ数年の調査結果から、「冬場/高齢者が/一人で/熱い湯に/長湯すること」が最も危険と言えます。「熱い湯につかり暖まる」のは、日本人の長年の習慣でもあるので、なかなか改善は難しいようですが、「ぬるめのお湯にサッと」でも大丈夫なように、脱衣室・浴室を暖かくする工夫をしていただきたいものです。 |
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東京ガス(株) 都市生活研究所 主幹研究員 橋本 俊幸
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浴室や脱衣室を暖めて温度差をなくしましょう 浴室暖房乾燥機「ホットドライU」
入浴中は血圧変化が激しくなり、しかも浴室温度が低ければ低いほど変化の幅が大きくなります。高齢者や血圧の高い方が気持ち良く安全に入浴するためには、浴室の温度に配慮しなければなりません。
「ホットドライU」は、簡単に後付けできる浴室暖房乾燥機「ホットドライ」シリーズの新製品。浴室内の壁面に設置し、熱源機でつくった温水を循環させて、温風による浴室暖房・乾燥を行います。
「ホットドライU」の特徴
- 既存の戸建住宅の浴室に設置可能
- 建築工事を伴わず、半日程度で設置可能
- 浴室の暖房だけでなく、浴室乾燥・衣類乾燥・換気の機能
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●浴室温の違いによる入浴時の血圧変化
神田清子「Thermal Conditions in Bathroom in Winter and Summer, and
Physiological Responses of the Elderly during Bathing」日本衛生学雑誌50
巻2号,1995 に基づき東京ガス(株)都市生活研究所で作成
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