| 2年目のクールビズ(2006.8.31update)
環境部環境技術グループ 田村 康昌 |
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地球温暖化防止のための国民運動“チーム・マイナス6%”の一環として提唱された「クールビズ」であるが、昨年は流行語大賞にも選ばれ、2年目の今年はすっかり定着した感もある。そもそも高温多湿な日本では多くのビジネスマンが望んでいたことなのかもしれないが、「政府」が提唱する「環境問題」への取り組みの一環という「大義名分」が、奥ゆかしい日本人ビジネスマンがネクタイをはずすことの精神的なバリアを取り除くことにつながったのであろう。
省エネ・省CO2のため夏の冷房は28℃、冬の暖房は20℃を目安とすることが推奨されている。クールビズ(ウォームビズ)はそんなオフィスでも快適に過ごすための取り組みであるが、推奨されている温度に設定しても「暑い」「寒い」の苦情が出ることも多いのではないか。
たとえ設定温度を28℃にした場合でも、温度ムラ、無人空調といった無駄があれば、本来の目的とする温室効果ガスの削減にはつながらない。設定温度の調節は単に手段の一つであり、ある程度納得できる推奨温度の幅の中で、温室効果ガスを減らすための工夫をきちんと考えることが必要であろう。
法律等では「室温」を17℃以上28℃以下と定めており、単に設定温度を28℃とするのではなく、こまめに調節を行うことが重要である。実際に温度を測って対策を考えると、人間の感覚は意外にいい加減なものだと気づくかもしれない。温度計も数々あるが、お勧めしたいのは連続的に記録できる温度計(2,000円〜1万円前後)で温度推移をグラフ等で「見える」ようにすることが重要である。空調時間の無駄もあわせて明らかになるといった効果もあるであろう。一般的に半袖クールビズとスーツ着用では約2℃体感温度が異なると言われるが、さらにさらに大きな差が出るのは、「動作量代謝率」であり、座った安静状態と歩いている場合では約6℃も快適温度が異なる場合もある。外出から帰ってきたばかりでは暑く感じるのも当然で、ほんの少し席に座って冷静に温度計を見てみると実は適温ということもある。
個人差のある多数の人が同居するオフィスの温度調節の難しさは、地球規模での温暖化対策の難しさをも象徴しているように思う。温暖化防止は重要だとは思っていても、快適な事務所で仕事の効率を上げ、より高い成果を上げることが優先される。
工業化前の気温と比較して+2℃を超えると生態系や人間社会に大きな影響を与えると言われているが、様々なシミュレーションの結果によれば、2030年前後にこの水準を突破すると想定されている。民間企業や一個人が責任を持って対応するにはあまりに長期間であると同時に「排出者」の責任も明確でない。
これまでも化石燃料資源の枯渇が問題にされてきたが、これは何億年もかけて蓄積した「貯金」を短期間に使い果たしてしまうことへの危惧であった。空気中の温室効果ガスの蓄積は、次の世代に対して返すことのできない莫大な借金を残してしまうことになるということを我々一人ひとりが強く意識して行動する必要がある。
温室効果ガス濃度の安定化のためには、現状の排出量の50%以上の大幅な削減が必要であるといわれており、革新的な技術開発と生活水準の大幅な見直しが必要なのかもしれない。一方で、日常生活や事業活動の中で工夫した省エネ行動に理解と関心を持つこと、今私たちができることをそれぞれが工夫して一つずつ進めていくことが、温暖化防止のための第一歩として非常に重要なことではないだろうか。
クールビズも新しいビジネススタイルとしてネクタイを外すだけではなく、実際の温暖化防止のための行動が重要である。パフォーマンスが好きな政治家であれば壇上に上がってモデルとしてフラッシュを浴びるだけでなく、執務室の室温データの公開や、小さな工夫でこれだけ削減できたといった宣言等もあってもいいのではないか?
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