東京ガス株式会社(社長:広瀬 道明、以下「東京ガス」)都市生活研究所は、このたび都市生活レポート『蒸し調理に関する研究 ~「蒸し器」を使った蒸し調理の特徴~ 』を発行しました。
東京ガス都市生活研究所は、1986年に社内シンクタンクとして設立されて以来、生活者の立場から食生活や入浴、家事、室内環境など、エネルギー利用に関わる暮らしのあり方を考え、提言することを目的に研究を行っています。
近年、生活者の健康意識が高まる中、2011年度に都市生活研究所が実施した生活定点観測調査※1では、多くの人が「日々の食事の栄養バランスを意識している」という結果が得られました。さらに、2013年の調査※2では、食事を作る上で重視することの上位2項目は、「野菜を多く食べることができる」、「バランスよく栄養を取れる」ことであり、「蒸し調理」は、「油を使わずに野菜を多く摂取することができ、健康に良い料理を作ることができる」健康的な調理方法と考えている人が多いことがわかりました。
そこで、本研究では、「蒸し器」と「鍋ゆで」「グリル」「フライパン」「電子レンジ」など、数種類の調理器具による比較実験を行い、「蒸し器」を使った蒸し調理の特徴を明らかにしました。「蒸し器」を使った調理は、「水分や脂が保たれ、しっとりとやわらかく、ジューシーな仕上がりになること」、「穏やかな加熱のため、調理時間の調整が簡単」などの特徴があることがわかりました。
※1 |
2011年7月、質問紙郵送法 都市生活研究所TULIPモニター3,267名(一都三県在住の20~80代)が回答 |
※2 |
2013年6月、インターネット調査 週三回以上自分で料理を行う女性1,121名(一都三県在住の20~60代)が回答 |
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結果概要 |
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■「蒸し器」を使った調理は、水分や脂が保たれ、しっとりとやわらかく、ジューシーな仕上がりになる
- 「蒸し器」で調理した鶏もも肉は、「鍋ゆで」や「電子レンジ」調理に比べて脂質の含有率が高く、やわらかくジューシーであると評価された。
- 「蒸し器」で調理したさつまいもは、「グリル」や「電子レンジ」調理に比べて水分の減少が少なくしっとりとした仕上がりになる。
- 「蒸し器」は、穏やかでゆっくりとした加熱で、いもの甘味を引き出す。
図 【鶏もも肉】食味試験 |
図 【さつまいも】の麦芽糖含有量(生いも100gあたり) |
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■「蒸し器」を使った蒸し調理は、穏やかな加熱のため、調理時間の調整が簡単
- 「電子レンジ」で調理したプリンは、10秒単位で調理時間を設定したが、温度の上昇が急激であり、気泡が入ることがあった。
- 「蒸し器」で調理したプリンは、「電子レンジ」調理に比べて水蒸気を使って食材の外側から均一に加熱するので、火加減や調理時間の調整が簡単。
図【プリン】調理後の断面 |
蒸し器 |
電子レンジ |
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■「蒸し器」を使った蒸し調理は、「鍋ゆで」に比べると短時間・低コストで調理できる
- 鶏もも肉を調理した結果、お湯を沸騰させる必要がある「蒸し器」「鍋ゆで」は、「フライパン」「グリル」調理と比べると時間もコストもかかるが、「鍋ゆで」よりも「蒸し器」の方が短時間・低コストで調理できる。
■「蒸し器」を使ったおすすめの調理とは
- 蒸し器は、加熱ムラの少なさ、加熱時間の長さ、水分を維持する加熱などから、長時間の加熱により甘味が引き出されるさつまいもの調理や、火加減の難しい茶碗蒸し、ふっくらとした食感の中華まんの温めなおしなどに適していると言える。
- 肉の脂が落ちにくいという特性を活かし、調理油を使うことなく、野菜と同時に調理することで、野菜の甘味と肉の脂の旨みを一度に味わうことができる。
- 一方、しっかりと肉から脂を落としたいときには、グリルや電子レンジが有用である。
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試験概要 |
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■調理方法
蒸し調理を行う代表的な食材として、鶏もも肉、カップケーキ、さつまいも、かぶ、プリンを選定し、下記に示す調理器具を使い、蒸し調理を含む数種類の調理方法について試験を行った。
図 試験を行った食材および調理方法 |
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■評価試験項目
- 各食材の調理について、下記試験項目をそれぞれ測定した(※詳細は本レポート資料編参照)。
- 調理は3回ずつ行い、各試験項目について測定した値を平均したものを結果とした。
(1)調理時間 (2)消費エネルギー (3)温度 (4)サイズ (5)外観観察 (6)栄養素 (7)食味