東京ガス株式会社(代表取締役社長:鳥原 光憲、以下「東京ガス」)と日立アプライアンス株式会社(取締役社長:石津 尚澄、以下「日立アプライアンス」)は、下水処理水、河川水、海水、地下水などの低温未利用エネルギー※1を冷房・暖房に有効利用し、また、本製品の動力源(駆動熱源)としては、従来から利用している蒸気に加え、コージェネレーションシステムの廃熱や太陽熱を一部活用することにより、吸収式冷凍機とボイラーによる従来の空調システム※2と比較して高い暖房COP2.59※3を実現した「蒸気焚き高効率二重効用吸収ヒートポンプジェネリンク(以下「本製品」)」を共同開発しました。
本製品は、蒸気を駆動熱源とし、また低温未利用エネルギーから熱を汲み上げることにより、暖房COP2.20※4(電動圧縮式のCOP5.19※5に相当)を実現し、ボイラーの蒸気消費量を従来システムと比べ55%削減します。さらに蒸気の一部をコージェネレーションシステムの廃熱でまかなうことにより、暖房COPは2.59(電動圧縮式のCOP6.10※5に相当)まで高めることができるため、ボイラーの蒸気消費量を61%削減することが可能になります。なお、コージェネレーションシステム廃熱の代わりに太陽熱を使用することも可能です。従来、コージェネレーションシステムの廃熱と蒸気の両方を駆動熱源として冷房運転が行える製品はありましたが、冷房に加え暖房運転も行える二重効用吸収ヒートポンプジェネリンクの商品化は、日本初※6となります。
本製品は、地域冷暖房や工場などの蒸気需要が多く、空調運転時間が長いお客さまに対して、高い省エネルギー性とCO2削減効果を発揮します。冷房能力422kW(120RT※7)/暖房能力338kWの機種から、冷房能力3,516kW(1,000RT)/暖房能力2,813kWまで、冷房と暖房の切換え運転が可能な10機種をラインアップし、日立アプライアンスが今月末から発売します。なお、本製品では、東京ガスが市場性と商品性の検討を担当し、日立アプライアンスが詳細設計および製作を担当しています。
コージェネレーションシステムの廃熱は、広義の再生可能エネルギー等※8として位置付けられております。本製品は、コージェネレーションシステム廃熱や太陽熱を効率良く変換して利用するものであり、低炭素社会への移行と、それを実現するスマートエネルギーネットワーク※9の構築に重要な役割を担います。東京ガスは、今後とも天然ガス利用システムの高効率化とスマートエネルギーネットワークの構築を推進してまいります。
吸収ヒートポンプの原理となる吸収サイクルを用いた機器は、1964年に吸収冷凍機として実用化されて以来、大型空調機として広く利用されています。日立アプラアインスは、1965年以来累計1万9,200台の吸収冷凍機・吸収ヒートポンプを納入しています。長年培った技術により、現在主流の二重効用型吸収冷凍機で世界最高レベルの効率を達成しており、今後とも先進の省エネ技術で地球環境に配慮した製品を提供してまいります。
なお本システムは、本年2月16日から開催される展示会「HVAC&R JAPAN 2010(主催:社団法人日本冷凍空調工業会)」※10に出展します。 |