当期におけるわが国経済は、個人消費が伸び悩んだものの民間設備投資の回復傾向など一部に明るさが見られる。一方、世界経済は、イラク情勢等により先行きが懸念されたが、景気回復の基調を持続している。
このような経済情勢のもとで、当連結会計年度の売上高は、ガス事業の売上高の堅調な増加並びにガス器具事業及び受注工事事業の各売上高の減少等により、前連結会計年度に比べ24,191百万円増加し、1,151,824百万円となった(前期比2.1%増)。営業費用においては、ガス事業等の費用増加があり、営業利益は前連結会計年度に比べ28,993百万円増加し、152,287百万円となった(前期比23.5%増)。また、経常利益は131,093百万円(前期比42.6%増)となり、企業年金制度変更に伴う退職給付引当金取崩益5,664百万円及び固定資産売却益2,159百万円等を特別利益に計上し、退職給付数理計算上の差異一括償却額58,956百万円及び固定資産減損損失3,321百万円等を特別損失に計上した結果、当期純利益は44,787百万円となった(前期比24.3%減)。
事業の種類別セグメントの業績は以下のとおりである。
家庭用需要については、前連結会計年度に比べ、0.3%減少した。
また、商業用及びその他の業務用需要が4.0%増加し、工業用需要が15.7%増加したので、ガス販売量合計では7.1%増加し、11,218百万m3となった。ガス販売量の増加等により、売上高は831,114百万円となり、前連結会計年度に比べ、38,661百万円増加した(前期比4.9%増)。
営業費用については、原材料費の増加等により9,519百万円増加し(前期比1.5%増)、営業利益は189,365百万円と前連結会計年度に比べ29,142百万円増加した。
売上高は133,873百万円と前連結会計年度に比べ8,762百万円減少した(前期比6.1%減)。営業費用については、8,825百万円減少し(前期比6.5%減)、営業利益は7,904百万円と前連結会計年度に比べ63百万円増加した。
売上高は68,033百万円と前連結会計年度に比べ2,535百万円減少した(前期比3.6%減)。営業費用については、2,815百万円減少し(前期比4.2%減)、営業利益は4,455百万円と前連結会計年度に比べ281百万円増加した。
売上高は35,443百万円と前連結会計年度に比べ903百万円減少した(前期比2.5%減)。営業費用については、1,162百万円減少し(前期比4.0%減)、営業利益は7,882百万円と前連結会計年度に比べ259百万円増加した。
売上高は172,160百万円と前連結会計年度に比べ13,834百万円増加した(前期比8.7%増)。営業費用については、12,189百万円増加し(前期比8.2%増)、営業利益は11,270百万円と前連結会計年度に比べ1,644百万円増加した。
(注) 1 本書面では、ガス量はすべて1m3当たり46.04655メガジュール(11,000キロカロリー)換算で表示している。
2 消費税等については税抜方式を採用している。
なお、参考のため、事業の種類別セグメントの売上高及び構成比を示す。
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
ガス |
792,453 |
66.0 |
831,114 |
66.9 |
ガス器具 |
142,635 |
11.9 |
133,873 |
10.8 |
受注工事 |
70,568 |
5.9 |
68,033 |
5.5 |
建物賃貸 |
36,346 |
3.0 |
35,443 |
2.9 |
その他 |
158,326 |
13.2 |
172,160 |
13.9 |
合計 |
1,200,330 |
100.0 |
1,240,625 |
100.0 |
消去 |
(72,696) |
― |
(88,800) |
― |
連結 |
1,127,633 |
― |
1,151,824 |
― |
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、有形固定資産の取得及び有利子負債の削減等に伴い、前連結会計年度に比べ8,169百万円減少し、当連結会計年度末には43,960百万円となった(前期比15.7%減)。
営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において217,608百万円となった。
これは、税金等調整前当期純利益の計上に加え、減価償却費が143,128百万円計上されたこと及び退職給付引当金が36,912百万円増加したこと等によるものである。
また、これは、前期に比べて4,076百万円の収入の増加となる(前期比1.9%増)。
投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において126,038百万円となった。
これは、ガス製造設備を初めとする有形固定資産を取得して101,011百万円を支出したこと及び投資有価証券を取得して15,371百万円を支出したこと等によるものである。
また、これは、前期に比べて15,895百万円の支出の増加となる(前期比14.4%増)。
財務活動の結果支出した資金は、当連結会計年度において99,744百万円となった。
これは、社債の発行による収入50,000百万円及び長期借入れによる収入37,789百万円があったが、社債の償還による支出78,813百万円、長期借入金の返済による支出52,228百万円及び自己株式の取得による支出28,037百万円があったこと等によるものである。
また、これは、前期に比べて21,227百万円の支出の増加となる(前期比27.0%増)。
当グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらない製品も少なくない。
また、ガス事業が、外部顧客に対する売上高及び営業費用において連結合計の大半を占めており、当該セグメントが当グループの生産、受注及び販売活動の中心となっている。
このため、以下はガス事業について記載している。
最近2連結会計年度のガスの生産実績は次のとおりである。
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
ガス(千m3) |
10,181,491 |
10,816,070 |
ガスについては、その性質上受注生産は行わない。
ガスは、導管を通じて直接需要家に販売しているが、一部については卸供給を行っている。
最近2連結会計年度のガスの販売実績は次のとおりである。
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
数量(千m3) |
金額(百万円) |
数量(千m3) |
金額(百万円) |
|
家庭用 |
3,302,276 |
451,451 |
3,292,415 |
458,644 |
その他 |
7,168,457 |
341,002 |
7,925,964 |
372,469 |
計 |
10,470,733 |
792,453 |
11,218,379 |
831,114 |
期末需要家件数(千件) |
9,362 |
9,567 |
当社は、平成13年2月1日にガス料金の引下げと料金体系の変更を主な内容とする供給約款の変更を経済産業大臣に届け出て同年2月15日から実施している。従来は検針日の翌日から20日経過後にガス料金を支払った場合には3%増の遅収料金が適用されていたが、平成13年6月1日に、これを廃止し、延滞日数に応じて延滞利息が課される方式に変更した。また、平成13年10月以降、以下のとおり地区の変更等を行っている。
・平成13年10月10日には熊谷地区の熱量変更に伴い「群馬・熊谷・長野地区」を「群馬・長野地区」と「熊谷地区」に分割した上で熊谷地区のガス料金を変更した。
・平成14年4月1日には鴻巣市からのガス事業譲受に伴い「鴻巣中南部地区」を新たに設定した。
・平成15年10月16日には甲府地区の熱量変更に伴い、従前は「東京地区等」の一部であった同地区を新たに「甲府地区」として設定した上で甲府地区のガス料金を変更した。
なお、供給約款以外の料金として、選択約款による料金や、個別交渉による大口需要家向け料金がある。
T 東京地区等
下記区分による基本料金及び従量料金の合計に消費税等相当額を加えたものが、ガス料金である。
区分 |
料金表A (円) |
料金表B (円) |
料金表C (円) |
料金表D (円) |
料金表E (円) |
料金表F (円) |
月間使用量
20m3まで |
同 20m3超 80m3まで |
同 80m3超 200m3まで |
同 200m3超 500m3まで |
同 500m3超 800m3まで |
同 800m3超
|
|
基本料金(1か月あたり) |
690.00 |
1,040.00 |
1,460.00 |
2,000.00 |
5,050.00 |
9,610.00 |
基準単位料金(1m3あたり) |
127.25 |
109.75 |
104.50 |
101.80 |
95.70 |
90.00 |
東京地区等については原料費調整制度を導入しているため、調整の必要が生じた場合は、基準単位料金に替えて調整単位料金を適用する。平成14年4月以降の検針分については、それぞれ以下のとおり調整単位料金の適用が行われた。
料金適用期間(検針分) |
1m3あたり調整額(円) |
|
料金適用期間(検針分) |
1m3あたり調整額(円) |
平成14年4月〜6月 |
±0 |
|
平成15年7月〜9月 |
+2.43 |
7月〜9月 |
±0 |
|
10月〜12月 |
+2.01 |
10月〜12月 |
±0 |
|
平成16年1月〜3月 |
+1.59 |
平成15年1月〜3月 |
±0 |
|
4月〜6月 |
±0 |
4月〜6月 |
+1.93 |
|
7月〜9月 |
±0 |
下記区分による基本料金及び従量料金の合計に消費税等相当額を加えたものが、ガス料金である。
区分 |
料金表A(円) |
料金表B(円) |
料金表C(円) |
月間使用料27m3まで |
同 27m3超550m3まで |
同 550m3超 |
|
基本料金(1か月あたり) |
690.00 |
1,170.00 |
6,840.00 |
単位料金(1m3あたり) |
110.60 |
92.83 |
82.53 |
V 熊谷地区〔平成13年10月10日から設定〕
下記区分による基本料金及び従量料金の合計に消費税等相当額を加えたものが、ガス料金である。
区分 |
料金表A(円) |
料金表B(円) |
料金表C(円) |
月間使用料25m3まで |
同 25m3超500m3まで |
同 500m3超 |
|
基本料金(1か月あたり) |
690.00 |
1,170.00 |
6,840.00 |
基準単位料金(1m3あたり) |
121.21 |
102.01 |
90.67 |
熊谷地区については原料費調整制度を導入しているため、調整の必要が生じた場合は、基準単位料金に替えて調整単位料金を適用する。平成14年4月以降の検針分については、それぞれ以下のとおり調整単位料金の適用が行われた。
料金適用期間(検針分) |
1m3あたり調整額(円) |
|
料金適用期間(検針分) |
1m3あたり調整額(円) |
平成14年4月〜6月 |
△1.77 |
|
7月〜9月 |
±0 |
7月〜9月 |
△1.52 |
|
10月〜12月 |
±0 |
10月〜12月 |
△2.52 |
|
平成16年1月〜3月 |
±0 |
平成15年1月〜3月 |
△2.69 |
|
4月〜6月 |
△2.44 |
4月〜6月 |
±0 |
|
7月〜9月 |
△2.27 |
W 鴻巣中南部地区〔平成14年4月1日から設定〕
下記区分による基本料金及び従量料金の合計に消費税等相当額を加えたものが、ガス料金である。
区分 |
料金表A(円) |
料金表B(円) |
料金表C(円) |
月間使用料25m3まで |
同 25m3超250m3まで |
同 250m3超 |
|
基本料金(1か月あたり) |
700.00 |
750.00 |
1,270.00 |
単位料金(1m3あたり) |
99.00 |
97.00 |
94.92 |
X 甲府地区 〔平成15年10月16日から設定〕
下記区分による基本料金及び従量料金の合計に消費税等相当額を加えたものが、ガス料金である。
区分 |
料金表A (円) |
料金表B (円) |
料金表C (円) |
料金表D (円) |
料金表E (円) |
料金表F (円) |
月間使用量
21m3まで |
同 21m3超 85m3まで |
同 85m3超 213m3まで |
同 213m3超 534m3まで |
同 534m3超 854m3まで |
同 854m3超
|
|
基本料金(1か月あたり) |
690.00 |
1,040.00 |
1,430.00 |
1,990.00 |
5,030.00 |
9,610.00 |
単位料金(1m3あたり) |
121.10 |
104.47 |
99.88 |
97.25 |
91.56 |
86.20 |
(注) 1 基本料金は、ガスメーター1個についての料金であり、従量料金は、使用量に単位料金を乗じて算定する。
2 支払期限日(支払義務発生日の翌日から30日)を経過した後に支払われる場合は、上記の基本料金と従量料金の合計額に、支払期限日の翌日から支払日までの日数1日あたり0.0274%の延滞利息が賦課される。
3 消費税等相当額は、消費税法の規定により課される消費税及び地方税法の規定により課される地方消費税に相当する金額をいう。
4 原料費調整制度は、為替レートや原油価格等の変化による原料価格の変動を迅速にガス料金に反映させるため、四半期ごとのLNG・LPGの価格変動に応じガス料金を調整する制度である。
エネルギー市場は、規制緩和の進展によって、ガス・電気事業者間の相互参入や新規事業者の参入が進む等、本格的な「エネルギー大競争時代」を迎えている。平成16年4月には改正ガス事業法が施行され、自由化範囲の拡大によってガス市場においても競合が激しさを増し、さらに電化攻勢の激化等、都市ガス事業を取り巻く経営環境は大きく変化していく。一方で、将来的には、電力、ガス、その他のユーティリティ、エネルギーサービス、家庭用各種サービス等を含めたエネルギー関連市場が融合して新たな市場が生まれ、ビジネスチャンスが拡大していくと考えられる。
当グループは、この経営環境の大きな変化に対応し、コア事業領域であるエネルギー関連領域の中で、グループとして成長・発展するため、平成14年10月に策定した「フロンティア2007(2003年度〜2007年度グループ中期経営計画)」に基づき、「変革と創造」に向けた様々な取り組みを展開している。
<ビジネスモデルの変革・エネルギー関連領域への事業拡大>
「LNG基地インフラを活用する電力ビジネス」については、当社初の大型電源(10万kW)を所有する鞄結档Kスベイパワーが昨年10月に電力販売(卸供給)を開始した。さらに、将来的に300万kW規模までの事業拡大に向け、他社と共同で検討を進めている。
「エネルギーサービス」に関しては、天然ガスコージェネレーションの高い環境性や、当グループが長年蓄積してきた天然ガス利用技術及びお客さまとのネットワークをベースに、戦略子会社である潟Gネルギーアドバンスを中心とした事業展開により、産業用・民生用分野あわせて約6万kWの受注実績をあげることができた。今後も、エネルギーサービス事業のトップランナーを目指し、積極的な事業展開を行っていく。
「上流開発及びLNG輸送」に関しては、豪州・東ティモールでの「バユ・ウンダン・ガス田開発」を軸とした「ダーウィンLNGプロジェクト」への正式参画など、当グループとして初めて上流部門へ進出した。さらに、当社グループ初の自社LNG船「エネルギーフロンティア号」が就航した。こうした新たな上流・輸送分野への進出により、ガスの開発・生産から液化、輸送、さらにガス・電気事業における供給までのLNGバリューチェーン全体におけるメリットの向上を図っていく。
「家庭用新サービス」においては、既に昨年1月から損害保険事業を開始しているが、これに続き、平成16年4月からホームセキュリティサービスの試行販売を開始し、この秋には本格展開する。当グループは、このホームセキュリティサービスを通して、これまで培ってきた「安心、安全、信頼」のブランド価値をさらに向上させ、今後もお客さまに選び続けていただけるよう努力していく。
<グループ経営体制の構築>
平成16年4月から、グループとしての経営資源や商材を最大限に活用し、お客さまへのより高い価値の提供を目指す、「戦略ビジネスユニット制」を導入した。
この戦略ビジネスユニット制は、当グループを「戦略ビジネスユニット(事業戦略の推進)」、「コーポーレート(グループ全体の戦略策定、経営資源の配分)」、「シェアードサービス・R&D(会計、資材・物流、不動産管理などの共通サービスの提供及び技術開発)」の3つの機能に区分し、当社と関係会社を一体として事業展開を図る経営体制であり、この体制構築により企業価値の最大化を図っていく。
<企業体質の強化>
企業体質の強化は、ビジネスモデルの変革・競争力強化のための必要条件であるという考えのもと、引き続きコンプライアンスを徹底し、資産効率の向上、組織・人員の効率化及びコストダウンを追求していく。また、年金制度改革を機に、退職給付会計における積立て不足(未認識数理計算上の差異)を一括して特別損失として費用計上し、財務体質の改善を図った。
当グループは、2004年度も新たなグループ体制のもと、企業価値をさらに高め、株主の皆さま、お客さまのご期待にお応えできるよう努力していく。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす事項には、以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
都市ガスの製造・供給を事業活動の基盤としているため、ガスの製造、供給に伴う大規模な漏洩・爆発事故や供給支障が発生した場合には、その直接的損害に止まらず、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性がある。
都市ガスの製造・供給設備を事業活動の基盤としている装置産業であるため、地震、台風等の大規模な自然災害が発生した場合、工場等の製造設備や、導管等の供給設備に損害を受け、都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性がある。
天然ガスをはじめとする都市ガス原料の大半を海外からの輸入に頼っているため、海外からガス原料が円滑に調達できない場合には、都市ガスの供給に支障を及ぼす可能性がある。
所有する金融資産、不動産、年金資産等の市場価格や、金利が変動した場合に損失を受ける可能性がある。
天候、特に気温・水温の変動によってガス販売量が減少し、収支に影響を及ぼす可能性がある。
規制緩和の進展によって、電力会社との競合やガス事業への新規参入者との競合が激化し、収支に影響を及ぼす可能性がある。具体的には、電力会社の電化促進営業政策の展開や電力料金引下げ、及び新規参入者による営業攻勢に伴う需要の減少、料金下落等が考えられる。
ガス事業法その他の法令や制度等に従って事業を遂行しているため、規制緩和が進展する中で、それら法令や制度等の変更が、事業遂行に影響を及ぼす可能性がある。
規制緩和に伴って、将来エネルギー関連市場が融合して新たな市場が生まれるなどビジネスチャンスが拡大し、新規事業へ進出するチャンスが拡大しているため、エネルギー関連領域への事業拡大に取り組んでいる。新規事業への進出により、従来ガス事業で対応してきたものとは異なる新たなリスクにさらされる可能性がある。
公益事業としての業務を遂行するために収集・管理しているお客さまの個人情報が外部へ漏洩した場合には、対応に要する直接的な費用に止まらず、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性がある。
ガスの製造・供給やガス料金の計算等に関する基幹的なコンピュータシステムが、停止・誤作動した場合には、ガスの供給支障やお客さま対応の停滞が発生するばかりでなく、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性がある。
産業廃棄物の不法投棄等の環境破壊、法令・規則違反、もしくは企業倫理に反する行為等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用に止まらず、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性がある。
不十分なCS(お客さま満足)や不適切なお客さま対応が発生した場合には、社会的責任の発生をはじめ有形無形の損害が発生する可能性がある。
該当する事項はない。
当グループは、技術戦略を経営戦略のひとつとして位置づけ、東京瓦斯鰍フR&D本部を中心として、主に以下の観点から研究開発に取り組んでいる。
@ 省エネ性・環境調和性にすぐれた天然ガス利用の高度化
A 天然ガス事業基盤の拡充(効率的な製造・貯蔵・輸送・供給システムの構築など)
B 新しい事業機会の創出
研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいる。
当連結会計年度の研究開発費総額は11,146百万円である。
主な研究開発活動は、次のとおり主力事業であるガス事業を中心に行われており、10,357百万円である。
@ 天然ガス利用の高度化
・家庭用固体高分子型燃料電池(PEFC)コージェネレーションシステムの商用機の平成16年度市場導入を目指し、実現に向けた技術開発を加速するため、燃料電池システムメーカー2グループと共同開発を実施している。(目標仕様:定格発電容量1kW、発電効率31%以上、総合効率70%以上、運転形態DSS(Daily Start and Stop))
・従来機に対して、冷房効率を32%向上(冷房COP(※)=1.45)させるとともに、排熱投入時の燃料ガス削減率を15%から25%に増大させた排熱投入型ガス吸収冷温水機「超省エネルギー型ジェネリンク」を開発した。(※冷房COP(JIS基準)=冷房時定格能力/(ガス消費量+消費電力量))
・燃料電池の中で最も高い発電効率が期待できる固体酸化物型燃料電池(SOFC)に関し、平成19年春の商品化を目指し、業務用高効率発電システムの共同開発を行っている。(作動温度750℃、セルスタック1本当たり出力約10W)
A 天然ガス事業基盤の拡充
・レーザーを利用した携帯型遠隔ガス検知器を他社と共同開発し、検知可能距離が従来品の5倍以上、コストが従来品の約60%の検知器を商品化した。小型軽量化により片手による持ち運びと操作が可能になり、遠隔での漏洩箇所発見作業や安全確認作業を、より効率的に行えるようになった。
B 新しい事業機会の創出
・携帯電話やブロードバンドが急速に普及し、様々なサービスへの応用も期待されているなか、ガス温水暖冷房システム(TESシステム)における風呂や床暖房の遠隔操作のほか、鍵・電気エアコン等のホームオートメーション機能付機器の遠隔操作に対応した新たなサービスとして、「Remote+ (リモートプラス)」システムを開発した。
・テロリズム等による公共交通機関などへの破壊行為が懸念される昨今の状況を反映し、ペットボトルなどの容器中の液体が引火性か否かを、ふたを開けることなく瞬時に判別する装置を他社と共同開発した。国土交通省および大手航空会社の協力を得てフィールドテスト等を実施し、早期の実用化を目指す。
ガス器具及びその他の事業については、当該事業を営む連結子会社が中心となって、商品化開発等を行っている。ガス器具事業に係る研究開発費は587百万円であり、その他の事業に係る研究開発費は201百万円である。
当社と連結子会社18社は、ガス、ガス器具、受注工事、建物賃貸及びその他の5つの事業を行っている。
当連結会計年度の家庭用需要は、年初及び夏場の低気温による需要増があったものの、下期の気温が高めに推移した影響で給湯及び暖房需要が伸び悩み、前連結会計年度比0.3%減の3,292百万m3となった。商業用及びその他の業務用需要は、夏場の低気温及び下期の高気温により空調需要が伸び悩んだものの、新規物件の順調な稼働等により、同4.0%増の2,695百万m3となった。工業用需要は、既存物件の稼働増等により同15.7%増の4,201百万m3となった。また、他ガス事業者向け供給は、供給先需要家の引取量の増加等により、同9.1%増の1,030百万m3となった。これらの結果、当連結会計年度のガス販売量は、前連結会計年度と比べ7.1%増加し11,218百万m3となった。
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比2.1%増の1,151,824百万円となった。ガス器具及び受注工事の売上高は前連結会計年度より減少したが、ガス販売量の増加により、ガス売上高が前連結会計年度比4.9%増となった。
売上原価、供給販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前期比0.5%減の999,537百万円となった。
ガス販売量の伸びに伴い原材料費が増加したことで売上原価が増加したが、経営効率化の一層の推進を図り、諸経費及び人件費等の抑制に最大限の努力を重ねた結果、売上高の伸びを下回る範囲にとどめることができた。売上原価は、前連結会計年度比1.2%増の578,529百万円となり、供給販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比2.6%減の421,007百万円となった。
この結果、営業利益は前連結会計年度比23.5%増の152,287百万円となった。
営業外損益純額は、前連結会計年度の△31,339百万円から、△21,193百万円となった。
営業外収益の合計は、前連結会計年度の7,441百万円から9,131百万円となった。これは、前連結会計年度に発生のなかった環境整備費精算差額を計上したことが主な要因である。
営業外費用の合計は、前連結会計年度の38,780百万円から30,324百万円となった。これは、有利子負債の返済を進めたことにより、支払利息が前連結会計年度比15.2%減の14,822百万円となったこと、及び前連結会計年度に5,656百万円発生した環境整備費が当連結会計年度は発生しなかったことが主な要因である。
この結果、経常利益は前連結会計年度比42.6%増の131,093百万円となった。
特別損益純額は、前連結会計年度の3,927百万円から、△57,961百万円となった。
特別利益の合計は、前連結会計年度の8,699百万円から8,413百万円となった。これは、前連結会計年度に5,503百万円であった固定資産売却益の計上が2,159百万円にとどまったこと、及び当連結会計年度において企業年金制度変更に伴う退職給付引当金の取崩しが5,664百万円あったことが主な要因である。
特別損失の合計は、前連結会計年度の4,771百万円から66,375百万円となった。これは、当連結会計年度において退職給付数理計算上の差異を一括償却したことによる損失を58,956百万円計上したこと、及び当連結会計年度において固定資産減損損失を3,321百万円計上したことが主な要因である。
税金等調整前当期純利益は、特別損失の増加により、前連結会計年度比23.7%減の73,131百万円となった。法人税等は、同23.3%減の27,899百万円となった。
以上の結果から、当期純利益は同24.3%減の44,787百万円となった。
売上高に対する当期純利益率は、前連結会計年度の5.3%から1.4ポイント悪化し、3.9%となった。1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度の21円18銭から16円44銭、また1株当たり潜在株式調整後当期純利益は前連結会計年度の19円11銭から14円98銭となった。
ガス売上高はガス販売量が7.1%増加したこと等により、前連結会計年度から38,661百万円(4.9%)増の831,114百万円となった。セグメント間消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の66.0%から66.9%となった。ガス販売量増加に伴い原材料費も増加したものの、経営効率化の一層の推進を図り、諸経費及び人件費等の抑制に最大限の努力を重ねたことにより、営業費用は前連結会計年度比1.5%増の641,748百万円にとどまった。これにより、営業利益は、前連結会計年度に比べ29,142百万円(18.2%)増加し、189,365百万円となった。
ガス器具売上高は、前連結会計年度から8,762百万円(6.1%)減少し、133,873百万円となった。セグメント間消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の11.9%から10.8%となった。営業費用は前連結会計年度から8,825百万円(6.5%)減少し125,969百万円となり、営業利益は、同63百万円(0.8%)増加し7,904百万円となった。
受注工事売上高は、前連結会計年度から2,535百万円(3.6%)減少し、68,033百万円となった。セグメント間消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の5.9%から5.5%となった。営業費用は前連結会計年度から2,815百万円(4.2%)減少し63,578百万円となり、営業利益は、同281百万円(6.7%)増加し4,455百万円となった。
建物賃貸売上高は、前連結会計年度から903百万円(2.5%)減少し、35,443百万円となった。セグメント間消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の3.0%から2.9%となった。営業費用は前連結会計年度から1,162百万円(4.0%)減少し27,561百万円となり、営業利益は、同259百万円(3.4%)増加し7,882百万円となった。
地域冷暖房、コークス、液化石油ガス、工業ガス、クレジット・リース、システムインテグレーション及び総合エンジニアリング等で構成されるその他売上高は、ガス設備安全点検業務等受託の増加等により、前連結会計年度から13,834百万円(8.7%)増加し、172,160百万円となった。セグメント間消去前の売上高合計に占める割合は、前連結会計年度の13.2%から13.9%となった。営業費用は前連結会計年度から12,189百万円(8.2%)増加し160,889百万円となり、営業利益は、同1,644百万円(17.1%)増加し11,270百万円となった。
マーケットリスク
規制緩和の進展に伴い、エネルギー間の競争はますます激しくなっている。このような中、電力会社の料金値下げに対抗して、顧客獲得及び維持のために、ガス料金が低下するリスクが考えられる。
当社では、この料金値下げリスクを認識し、合計180,000百万円の値下げ原資を中期経営計画に織り込んでいる。
当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受ける。また、ドル建てのLNG価格は原油価格にスライドして決定されるため、原料価格相場の変動リスクも受ける。
それぞれの変動が年間の原料費に与える影響額は次のとおりである。
円/ドル為替の1円/ドルの変動:約2,100百万円
原油価格の1ドル/バレルの変動:約4,300百万円
ただし、上記の変動は「原料費調整制度(原油価格や為替レートの変動等によるLNG等の原料費の変動に応じて、3ヶ月ごとにガス料金を調整する制度)」が適用されているため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生するが、中長期的には収支への影響はない。
当社の有利子負債は、長期及び短期ともに固定金利であるため、借入期間中の金利変動リスクはない。しかし、借り換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性がある。
当社の保有する株式は、業務上必要な企業との関係を維持するためのものが大部分である。そのうちマーケットリスクにさらされる可能性があるのは、上場株式の株価である。これら株式の扱いについては、運営方針と管理規則を設けている。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
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営業活動による キャッシュ・フロー (百万円) |
投資活動による キャッシュ・フロー (百万円) |
財務活動による キャッシュ・フロー (百万円) |
当連結会計年度 (自 平成15年4月1日 至 平成16年3月31日) |
217,608 |
△126,038 |
△99,744 |
前連結会計年度 (自 平成14年4月1日 至 平成15年3月31日) |
213,532 |
△110,143 |
△78,517 |
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度から4,076百万円増加し217,608百万円となった。増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益73,131億円の計上に加え、退職給付数理計算上の差異を一括償却したことにより退職給付引当金が増加したことである。売上債権は前連結会計年度においては増加したが、当連結会計年度において減少しキャッシュ・フローの増加に寄与している。
投資活動により減少したキャッシュ・フローは、前連結会計年度の110,143百万円から、126,038百万円になった。有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出の合計額は、前連結会計年度に比べ6,059百万円(5.7%)増加し、113,222百万円となった。当連結会計年度の主な支出はガス導管及び扇島工場建設に係るものである。投資有価証券の取得による支出は、前連結会計年度の約2倍の15,371百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを引いた金額は、前連結会計年度から11,819百万円(11.4%)減少し、91,570百万円となった。
財務活動により減少したキャッシュ・フローは、前連結会計年度の78,517百万円から、99,744百万円となった。減少の主な要因は、社債の償還及び長期借入金の返済が、前連結会計年度の75,450百万円から131,041百万円になったこと等である。また、社債の発行及び長期借入れによる収入は、前連結会計年度から50,449百万円増加し87,789百万円となった。この中には、当社の第23回無担保普通社債20,000百万円及び第24回無担保普通社債30,000百万円の発行が含まれている。
以上の結果により、現金及び現金同等物の連結会計年度末残高は、前連結会計年度末から8,169百万円減少し、43,960百万円となった。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から9,236百万円(0.6%)減少し、1,666,828百万円となった。総資産当期純利益率(ROA)は、前連結会計年度末の3.5%から2.7%に下落した。
有形固定資産は、減価償却が進んだことにより前連結会計年度末から47,037百万円(3.9%)減少し、1,170,428百万円となった。製造設備は既存設備の減価償却が進んだものの、当社の扇島工場において地下タンク等が事業供用され、前連結会計年度末から1,226百万円増加し、245,284百万円となった。供給設備は導管網の増強があったものの、減価償却が進んだことにより前連結会計年度末から4,784百万円減少し、533,407百万円となった。建設仮勘定は、当社の扇島工場地下タンク取得等により前連結会計年度から36,946百万円(49.0%)減少し、38,496百万円となった。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から5,449百万円(2.1%)減少し、259,102百万円となった。現金及び預金は、前連結会計年度末と比べ12,933百万円増加した。一方、受取手形及び売掛金は前連結会計年度末から6,991百万円(5.3%)減少し125,244百万円となり、その他流動資産も前連結会計年度末から13,431百万円減少し、52,053百万円となった。
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から17,227百万円(2.3%)減少し、734,345百万円となった。転換社債は、前連結会計年度末と比べ82,886百万円減少した。一方、退職給付引当金は前連結会計年度末から36,912百万円(30.5%)増加し157,808百万円となり、社債も前連結会計年度末から26,200百万円増加し、283,833百万円となった。
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から10,976百万円(3.2%)減少し329,770百万円となった。この主な要因は、短期借入金が11,871百万円減少したことである。1年以内に期限到来の固定負債が15,781百万円増加したものの、その他の流動負債が10,722百万円減少した。流動比率は、前連結会計年度末の77.6%から78.6%となった。
中期経営計画の基本方針として財務体質の改善を引き続き強化した結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ、48,557百万円(6.6%)減少し682,744百万円となった。有利子負債比率は、前連結会計年度末の43.6%から41.0%に改善した。
当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末に比べ18,747百万円(3.2%)増加し598,453百万円となった。前連結会計年度末に比べ自己株式(控除項目)残高が27,946百万円増加したものの、利益剰余金が28,272百万円増加し、その他有価証券評価差額金が18,652百万円増加した。株主資本比率は前連結会計年度末の34.6%から35.9%に改善したが、株主資本当期純利益率(ROE)は、前連結会計年度末の10.4%から7.6%に下落した。
当社は有利子負債の削減とともに資産効率の向上を財務上重視している。新規の設備投資について収益性を重視するのはもちろんのこと、既存の設備・投資についても収益性の観点から見直しを行い、全体として総資産当期純利益率(ROA)の向上に努めている。
中期経営計画「フロンティア2007」の確実な実行により確保したフリーキャッシュ・フローを、エネルギー関連領域への投入、自社株取得及び増配等株主の皆さまへの対応、価格競合力の強化、財務体質の強化等へ配分していく。